道幅の狭い「生活道路」での交通事故を防ぐため、警察庁は今年度、どこでも速度違反の取り締まりができる機器「可搬式オービス」を全国に集中配備することを決めた。昨年度の計60台から計103台まで増やし、未配備の県をなくす。大津市で歩道上の園児らが死傷した19年5月の事故を受けた道路の安全対策の一環で、21年度以降も増やす方針だ。
道路脇に設置、警察官1人でOK
可搬式オービスは道路脇に設置して使う。総重量が約50キロで持ち運びができ、盗難を防ぐ警察官を1人置き、生活道路や通学路での取り締まりをする。速度違反をした車の運転席やナンバーを自動で撮影し、後日、運転手を呼び出して違反切符を交付する。
従来の速度違反の取り締まりは、速度の計測とナンバー確認、車の誘導・停止、聴取・手続き――の少なくとも4人は必要で、事件や事故に人を割かれて急きょ中止になることも少なくない。また、違反車を停車させるスペースが必要なため、特定の場所で実施することが多かった。
可搬式オービスが初めて配備されたのは15年度で、埼玉、岐阜の両県警に計2台だった。その後、16年度計6台(5県警)、17年度計17台(13都県警)、18年度計39台(26都道県警)、19年度計60台(38都道府県警)と増えてきた。今年度は未配備の山形、茨城、新潟、鳥取、山口、徳島、高知、鹿児島、沖縄の9県警に計10台を置く。すでに配備実績がある北海道や埼玉、千葉、岐阜、三重、大阪、兵庫、福岡、佐賀など18都道府県警にも計33台を追加する。費用は1台800万円ほどだ。
可搬式オービスによる取り締まり件数は17年約360件、18年約1490件、19年約5070件と右肩上がり。19年の都道府県警別では、福岡約1570件▽愛知約570件▽佐賀約390件▽埼玉約290件▽兵庫約240件――の順で多かった。今月15日まで実施中の「春の全国交通安全運動」でも、全国の警察が使用している。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル